2026 States of Message

消費者の価値観が大きく変化している環境変化の中、百貨店業界は「単に物を売る場」から「価値を創出する場」として進化し、業態価値を高め、持続的な成長に向けた好機であると考え、挑戦していく

(一社)日本百貨店協会 会長 好本 達也

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。

 会員店の皆様、関係先の皆様のご多幸を心よりお祈り申し上げます。

 2025年は世界の政治経済の不確実性が続く中、日本では少子高齢化の急速な進行、実質賃金の低下が続くなど、消費の力強さには欠ける状態です。また、生活者の消費行動の変容は一層顕著になっており、「こだわり」や「メリハリ」 消費、サステナビリティへの関心の高まりやデジタル化の進展などにより消費者の価値観は大きく変化しています。

 このような環境変化の中、百貨店業界は「単に物を売る場」から「価値を創出する場」として進化し、業態価値を高めることが課題であると同時に、持続的な成長にむけた好機であると考えます。

 当協会では「人の思いをつなぐ場としてさらなる進化に挑戦する」をスローガンに強化事業として以下のことに取り組んでいます。

 まず「まちづくり事業」は、百貨店が地域のプロデューサー(編集者)として、地元の良いモノを発掘して付加価値を高め、地域の活性化に貢献したいという思いで取り組んでいます。単なるモノづくりに留まることなく、生産者等の思いやその背景にあるストーリーを紡ぐことでその価値を最大化するとともに、国内外に発信していきたいと考えています。

 続いて「交流事業」では、百貨店の未来を担う若手育成を目指し、学びの機会の創出とネットワークづくりを目的とした活動を展開しています。多様なプレイヤーとのコラボレーションにより、百貨店業界ならではのカリキュラムを実践し、幅広い知識と技術の習得を目指しています。

 さらに、専門家や関係省庁とともにAI等の最新技術を活用した未来の百貨店像を研究する「DX勉強会」では、データ分析に基づいたパーソナライズや仮想空間における店舗の可能性を研究しています。

 最後に、「百貨店システムの効率化・共通化研究」では、地方百貨店が各社個別に利用契約を結んでいる基幹システムなどに関して、コストパフォーマンスを高め、百貨店の現場に即したソリューションシステムの構築を実現すべく研究しています。

 百貨店は長い歴史の中で、「伝統と革新」のもと事業を続けて参りました。時代が変わっても変えてはいけない価値を維持しながら、時代の変化を先取りし柔軟に対応して参りました。

 当協会は変化を恐れずさらなる百貨店の進化にむけて挑戦して参ります。

 本年も皆さんのご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

ショッピングセンターは「働きやすい職場環境の整備」、「地域社会の持続的な発展への貢献」、「リアルの場の強みを活かした雷管価値の向上」という3点の方向性を目指す

(一社)日本ショッピングセンター協会 会長 菰田 正信

 謹んで新年のお慶びを申しあげます。

 昨年を振り返りますと、世界情勢において大きな変動が続いた一年でした。米国の第2次トランプ政権による強硬な通商政策が国際経済に緊張をもたらし、ロシアや中東では紛争が長期化するなど、地政学リスクが高まる状況が続いています。わが国では、世界中から注目を集めた大阪・関西万博が成功裏に終わり、秋には初の女性首相となる高市政権が誕生しました。景気は緩やかな回復基調にあり、企業の賃上げも進展を見せた一方で、物価上昇率は高水準で推移しており、個人消費に及ぼす影響には引き続き注視が必要な状況です。

 ショッピングセンター(以下、SC)業界については、既存SCの売上高は、物価高や猛暑の影響を受けながらも、全体的には前年実績を上回り堅調に推移しました。一方で、新規開業SC数は建築コスト高騰の影響を受け、統計開始以来最少の18SCにとどまりました。老朽化や再開発により閉鎖したSCもあり、全国のSC総数は、前年の3065SCから13SC減少し、3052SCとなりました。なお、2025年の新規開業SCは、平均店舗面積やテナント数が前年から大幅に増加し、1SCあたりの規模は大きくなっています。こうした状況を踏まえると、SCは量的拡大から質的向上へと転換する重要な局面にあるといえます。そのような背景のもと、2026年にSCと当協会が目指すべき方向性は、以下の3点にあると考えています。

 第一に、「働きやすい職場環境の整備」です。人手不足が深刻化する中、安定的な人材確保はSCにおける喫緊の課題です。パートタイマー、外国人労働者、子育て世代など多様な人材が安心して働ける環境づくりを進め、ディベロッパーとテナントが真摯に向き合い、相手の立場を尊重しながら議論を重ね、課題解決に取り組む必要があります。AIやロボットなど先端技術の活用による業務の最適化・効率化も、重要なソリューションとなります。当協会でも、売上報告業務の効率化などの取組みを、会員の皆様のご協力をいただきながら推進しています。

 第二に、「地域社会の持続的な発展への貢献」です。SCは今や、防災拠点としての機能や行政サービスの提供機能を担うなど、地域の生活基盤として重要な役割を果たしています。地域住民との共創イベントの開催や、環境保全への取組みなどを通じて、地域との共生をいっそう進め、豊かな暮らしと魅力あるまちづくりに寄与することが求められています。

 第三に、「リアルの場の強みを活かした来館価値の向上」です。顧客の消費行動が変容し、モノへの消費にとどまらず、スポーツやエンターテインメントなど、体験や交流を提供するコンテンツへの積極的な消費が拡大しています。SCにおいても、こうした新しい消費スタイルを柔軟に取り入れ、リアルの場だからこそ得られる価値を提供することが期待されています。顧客との接点を深め、多様化するニーズに応えることにより、リアルの場でしか得られない体験や感動を創出し、訪れる価値のある場としての魅力を高めていくことが重要です。

 さて、当協会は1月21~23日の3日間、毎年恒例の「日本ショッピングセンター全国大会」をパシフィコ横浜で開催いたします。諸先輩方および皆様のご支援により、今回で節目となる第50回を迎えることとなりました。SC業界に携わる多彩な関係者の方々との交流を通じて、今後のSCのあり方について有益な示唆を得られる場になると思いますので、ぜひご来場のほどお願い申しあげます。

 本年も当協会への格別のご理解、ご協力をお願いいたしまして、年頭の挨拶とさせていただきます。

更なる挑戦を積み重ねながら、「地域に愛される百貨店であり続けるために」、社員一同、心を尽くし、地域の皆さまに「この街になくてはならない」と感じていただけるお店づくりに励んでいく

㈱津松菱 代表取締役社長 谷 政憲

 新年あけましておめでとうございます。

 旧年中は格別のご支援を賜り、心より御礼申し上げます。

 百貨店業界を取り巻く環境は依然として厳しく、特に地方においては、コロナ禍以降の生活様式の変化や少子高齢化の進行により、市場は縮小傾向にあります。加えて、人手不足やコスト上昇など、従来のやり方では対処しきれない課題も顕在化しています。一方で、実際に商品を見て触れ、接客を楽しみながら買い物ができる体験価値は、今なお百貨店ならではの強みであり、こうした時代だからこそ、地域に根ざした地方百貨店の存在意義が改めて問われていると感じています。

 昨年は、デパート新聞社様とともに「地方百貨店の逆襲(カウンターアタックプロジェクト)」に取り組み、新たな試みを重ねてまいりました。

 「食べる本屋さん」は、3月に三宅香帆さん、11月に浅田政志さんをお招きし、トークショーを開催するなど、書籍を起点とした文化発信にも取り組みました。読書を楽しみながら人と人が自然につながる場として、多くのお客様にご来場いただいており、今後も地域コミュニティの拠点、そして新たな情報発信の場として活用してまいります。

 また、「選べるガチャガチャランド」は、カプセルトイを自由に選んで購入できる新しい販売スタイルとして好評を博し、当社だけにとどまらず、地方百貨店ネットワークを通じて他店への展開にも挑戦しました。

 本プロジェクトは、地方百貨店と地域住民とのコミュニケーションを高め、地方の活性化に寄与することを目的としており、7月、JU米子高島屋、山陽百貨店での開催を皮切りに、全国の地方百貨店へと順次展開を進めています。

 本取り組みは、単なる企画の拡販にとどまらず、共通の課題を抱える地方百貨店同士が情報を共有し、連携しながら新たな価値を生み出していくネットワークづくりへの第一歩と考えています。

 さらに「松菱マッピー号」は、百貨店からお客様のもとへ出向く移動販売車として、昨年もさまざまな場面で活躍しました。

 伊賀地方の老人ホームを訪問し、入居者の皆さまや地域住民の方々との交流を深めるとともに、百貨店ならではの商品や接客を通じて、松菱をより身近に感じていただく機会となりました。また、自動車ディーラーのイベントをはじめとした各種地域イベントにも積極的に出店し、普段はご来店の機会が少ないお客様とも直接触れ合うことができました。

 こうした取り組みを通じて、松菱マッピー号は地域に寄り添いながら、お客様との距離を一層縮める役割を果たしました。

 昨年私ども津松菱は、創業70周年の節目を迎えました。

 創業時の「三重県初の百貨店を地元に」という志と、街の発展を願う公益の精神は今日にも脈々と受け継がれています。

 また、長年の接客を通じて築いてきたお客様との信頼関係こそが、地方百貨店ならではの最大の強みであり、これからも「松菱さん」と親しみを込めて呼んでいただける存在であり続けたいと考えています。

 こうした原点を踏まえ、2026年はデパート新聞社様との取り組みに加えて、外商部門を中核とした成長戦略を推進してまいります。三重県中南勢地区の富裕層を確実にカバーできる体制を整え、唯一の百貨店として培ってきた上質なサービスを通じて、お客様一人ひとりのお困りごとに寄り添いながら、さらなる信頼関係の構築と顧客基盤の拡大を図ってまいります。

 本年も、更なる挑戦を積み重ねながら、「地域に愛される百貨店であり続けるために」、社員一同、心を尽くし、地域の皆さまに「この街になくてはならない」と感じていただけるお店づくりに励んでまいります。宜しくお願い致します。

従業員を重要な価値共創パートナーと位置づけ、一人ひとりの意志に寄り添い、お取引先を含む全ての従業員にとって働きやすく魅力ある労働環境の構築に取り組み、会社と従業員がともに成長していくことを目指す

㈱大丸松坂屋百貨店 代表取締役社長 宗森 耕二

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。

 二〇二五年は、物価高を意識した日々の生活に関する消費の節約志向は続いているものの、ライフスタイルの多様化を背景とした自身の価値観や嗜好性に基づく消費は堅調であり、個人消費は底堅く推移した一年でございました。金利や為替変動等による内外経済の先行きや物価上昇の長期化等による国内、インバウンド消費の動向に注視しながら、当社グループでは二〇二四年から二〇二六年を飛躍的成長への「変革期」と位置づけ、中期三カ年経営計画において、リテールの進化・シナジーの深化に取り組んでおります。集大成の最終年度となる今年は、さらなる躍進の年としたいと思います。

 昨年は「感動共創」「地域共栄」「環境共生」を提供する「価値共創リテーラー」を目指し、当社の強みを活かしながら、様々な取り組みを進めてまいりました。大盛況のうちに幕を閉じた大阪・関西万博におきまして、会場内にオフィシャルストアを出店、百貨店の目利き力を活かし、様々なオリジナル商品を展開いたしました。また、昨年は洋菓子企画企業とのジョイントベンチャーの設立や業務提携によりオリジナル商品を開発するなどのトライアルを行い、当社として新たな一歩を踏み出すことで得た知見やネットワークを活かし、二〇二六年はさらに新しい価値の共創と拡張に取り組んでいきます。

 また、個人金融資産の増加などによる活発な富裕層消費を受け、外商売上の好調が続いておりますが、外商顧客向けクローズドサイト「コネスリーニュ」による特別商材のご紹介や情報発信による若年富裕層へのアプローチ強化に加え、重点エリアでの顧客向け催事の強化など、本年もさらなる顧客エンゲージメントの強化にも取り組みます。

 二〇二六年は重点エリアのひとつである名古屋・栄地区での展開が本格化いたします。二〇二四年より改装に着手している松坂屋名古屋店での次世代顧客のニーズに対応したリニューアルに加え、J.フロントリテイリンググループのパルコとともに、新たな感性が交差するラグジュアリーモール「HAERA」を二〇二六年初夏に開業、グループが一体となって強みを発揮し、エリアにおける競争優位性のさらなる向上に挑戦してまいります。

 中期経営計画では「ヒューマン力を発揮し、心躍る体験価値を創造する」ことを基本方針に掲げ、これまで培ってきた百貨店の『店舗』と『人』が持つ強みを基盤に、人的資本経営を推進しています。当社では従業員を重要な価値共創パートナーと位置づけ、一人ひとりのWILLに寄り添い、お取引先を含む全ての従業員にとって働きやすく魅力ある労働環境の構築に取り組み、会社と従業員が相互に支援・貢献していくことによって、ともに成長していくことを目指しています。価値共創を実践するために、従業員の能力を発揮しやすい環境や制度の整備に取り組み、メンバー一人ひとりが本来持つパワーを最大限に引き出し、一丸となって事業戦略を推進してまいります。

当社グループの3つの強みである「店舗の立地特性」「優良なグループ会社」「幅広い顧客基盤」を最大限に生かし、顧客体験価値を向上させることで、外的環境変化に左右されない強固な経営基盤の構築に取り組む

 謹んで新年のご挨拶を申しあげます。

 昨年は、長引く物価高に加え、貿易摩擦や為替・株価の大きな変動、さらに地政学リスクの高まりにより、国内外において極めて不確実性の高い経済環境が続きました。

 このような状況の中、当社グループでは、3つの強みである「店舗の立地特性」「優良なグループ会社」「幅広い顧客基盤」を最大限に生かし、顧客体験価値を向上させることで、外的環境変化に左右されない強固な経営基盤の構築に取り組んでまいりました。

 さらに本年は、中長期的な成長に向け、これらの強みを有機的に掛け合わせ、当社グループのあらゆるお客様接点において、サービス・商品をシームレスに提供することで、グループ総合戦略である「まちづくり」を進化させてまいります。その象徴的な取り組みとして、本年1月、玉川髙島屋S.C. において食料品フロアのリニューアルを始動します。2027年6月のグランドオープンに向け、百貨店と専門店の商品カテゴリーを集約させ、同一のサービスを提供することで、お客様への提供価値をさらに高め、シームレスな顧客体験を実現いたします。これは2031年の創業200周年にめざす姿「グランドデザイン」で定めた『こころ豊かな生活を実現する身近なプラットフォーム』を具現化する重要な一歩であり、当社がめざす未来像を具体的に示すものとなります。

 そして、これらの取り組みを下支え、複雑な経営環境を乗り越えるためには、人の力が不可欠です。

 多様な人材の育成と活躍を支える環境づくりを通じて、組織力を高め、持続的な成長を可能にする体制を整えてまいります。従業員一人ひとりが責任と自覚を持ち、既成概念に捉われることなく、イノベーションを起こす組織風土を醸成し、未来を切り拓く企業文化を築いてまいります。本年も、変化の時代にあってもお客様に選ばれる企業であり続けるために、グループの総力を結集し、挑戦を続けることで、あらゆるステークホルダーの皆様の信頼に応えてまいります。

2026年は中期三か年計画の集大成の年。新東急百貨店は「なにか新しい発見がある、ワクワクする、笑顔が生まれる店づくり」を追求する

㈱東急百貨店 代表取締役社長 執行役員 稲葉 満宏

 2026年は中期三か年計画の集大成の年。

 新東急百貨店は「なにか新しい発見がある、ワクワクする、笑顔が生まれる店づくり」を追求します。

 2025年は世界情勢をはじめ、国内の政局においても大きな変化を伴う一年となりました。

 東急百貨店も構造改革を経て、昨年8月には東急(株)のリテール部門の商業施設事業再編に伴い、新しいスタートを切りました。この再編は、グループ連携をはかり、効率的な運営を目指すと同時に生活者にとって魅力ある街づくり、商業施設づくり、店づくりができる絶好の機会ととらえています。その中で東急百貨店は自分たちの強みに磨きをかけ、お客様にとって「なくてはならない存在」を目指してまいります。

 東急百貨店が本来「強み」として培ってきたものはお客様を中心におき、ワクワクする空間をつくること。意図せず出会う商品やショップ、買い物をする高揚感の体験、心に響く接客など、それらの実践により、お客様の笑顔が生まれる空間となり、それこそが我々の存在意義だと考えています。 

 お客様が渋谷という街を楽しんでいただけるよう渋谷ヒカリエShinQsを中心に駅周辺商業施設の複数の店舗で横連携をはかり、施策を打っていきます。

 具体的には、食料品では中期計画で策定した戦略「渋谷フードディスカバリー」のもと、渋谷エリアの4拠点・8フロアで横連携し、共通のプロモーションを仕掛け回遊していただくことにより、フードの広がりを知っていただく取り組みなどを継続実施していきます。

 ビューティーでは、S h i n Q s 、渋谷スクランブルスクエア内の+ Q (プラスク)、SHIBUYA109渋谷店内のDress Table by ShinQs ビューティー パレットの3拠点とも、拡大基調にあります。各店舗では、それぞれ異なる客層をもち、渋谷での顧客の棲み分けができています。渋谷でのビューティー関連のブランディングに向け「S H I B U Y A BEAUTY JAM」を打ち出し、感度を軸にリアル店舗とオンラインの融合を進めていきます。

 吉祥寺店、たまプラーザ店、札幌店などの郊外店に目を移すと、店舗構造改革によって利益を出せる体質に改善しました。上層階を中心とした賃貸化はSCにすることが目的ではありません。今後は多様な取引形態を生かし、その組み合わせにより、お客様に楽しんでいただくための店づくりや売場づくりをしていきます。データ上は各店舗同じような年齢層の顧客が中心ですが、データでは読み取れないお客様の感性、志向をきちんと読み解く力が大切であり、それがお客様との接点を大切にしてきた百貨店の持つ強みでもあります。ショップと自主編集売場をミックスすることで、そのエリアならではの価値を提供し、さらにその力を伸ばしていきます。

 2026年は現中期三か年計画の集大成の年となります。

 お客様に「自分の店としてずっとここにあってほしい」と言っていただける店づくり、時代の変化と地域にあった上質な暮らしを提案しつづける売場づくりを目指し、これからもひとつずつ笑顔に満ち溢れる空間や時間を提供していくよう力を尽くします。

商品や売場環境などの演出力を磨き、お客様に高揚感を感じていただけるような店舗を目指し、ご来店いただいたお客様に徹底したサービスをすることで東武ファンを増やしていく

㈱東武百貨店 代表取締役会長兼 CEO 國津 則彦

 2025年は、高水準の賃上げや設備投資が下支えとなり緩やかな回復基調が続いていますが、個人消費は物価高などの影響を受け停滞感の強い状況が続いています。そして、企業は人手不足を背景とした賃上げや様々なコストの上昇、物価の高騰といった不安材料からなる生活防衛意識の高まりなど、引き続き様々な努力を強いられています。

 そのなかで、当社は集客力を上げるため、お客様の来店動機を高める施策を数多く実施しました。

 池袋本店は店の玄関口となる地下1階3番地をリニューアルしました。百貨店ならではの自主編集売場 「全国銘菓撰」を移転増床し、週替わりのイベントスペースである「ハナサンテラス」と組み合わせることで、常に変化があり、来るたびに新たな発見のある売場に生まれ変わりました。その他、多様なニーズに対応するため多くの新ブランドを導入することや、アニメ・キャラクターコンテンツとタイアップすることで目的を持ってご来店されるお客様を増やす店づくりを進めて
います。

 船橋店は、東武船橋駅発のスペーシアX日光日帰りツアーを始め、東武ホテル、東武博物館、東武動物公園など東武グループ各社との協業イベントを実施しました。また、地域に根ざした店づくりとしては、これまでの取り組みをブラッシュアップさせながら継続的に実施することで、2027年の開店50周年に向け、地域の中で存在価値を高める施策を推進しています。

 そして、当社は本年の1月2日を休業日といたしました。年始の2日間を休みにすることで従業員がリフレッシュし、生産性を向上させ、より良いサービスの提供に繋げていくことを目的としています。

 池袋駅西口地区再開発計画については、着工予定が2027年度から2030年度へ延期されることとなりました。当社としては、この3年間をプラスに捉え、急速に変化する時代のなかで、百貨店のあり方、どのような形態が望ましいのかを検討し、より計画を深耕させてまいります。 

 リアル店舗である百貨はさらに新しい価値の共創と拡張に取り組んでいきます。

 また、個人金融資産の増加などによる活発な富裕層消費を受け、外商売上の好調が続いておりますが、外商顧客向けクローズドサイト「コネスリーニュ」による特別商材のご紹介や情報発信による若年富裕層へのアプローチ強化に加え、重点エリアでの顧客向け催事の強化など、本年もさらなる顧客エンゲージメントの強化にも取り組みます。

 二〇二六年は重点エリアのひとつである名古屋・栄地区での展開が本格化いたします。二〇二四年より改装に着手している松坂屋名古屋店での次世代顧客のニーズに対応したリニューアルに加え、J.フロントリテイリンググループのパルコとともに、新たな感性が交差するラグジュアリーモール「HAERA」を二〇二六年初夏に開業、グループが一体となって強みを発揮し、エリアにおける競争優位性のさらなる向上に挑戦してまいります。店は売場が第一です。そして、百貨店の強みは新しい提案ができることだと考えています。商品や売場環境などの演出力を磨き、お客様に高揚感を感じていただけるような店舗を目指し、そして、ご来店いただいたお客様に徹底したサービスをすることで、お客様の想像を上回る非日常の体験を提供し、東武ファンを増やしてまいります。

 当社は、今後も各店舗それぞれの地域性や、お客様のニーズをしっかりと捉えお応えし、さらに新しい提案をし続けることで、目的を持ってご来店いただける百貨店を目指します。

 本年も、皆様方の益々のご支援ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。

お客様との全ての接点において「顧客体験価値」を高め、目指す姿の実現と小田急グループの商業価値最大化に向け取り組む

㈱小田急百貨店 代表取締役社長 中島 良和

 2025年の日本経済は、後半に史上初の女性総理大臣誕生や日経平均株価の5万円突破など明るい話題があった反面、総じて円安に起因する物価高からインフレ傾向が進み、消費の二極化がより進行した1年であったと思います。百貨店業界では、堅調な国内顧客の売上に支えられた一方、一昨年好調であったインバウンド需要は、訪日外国人旅行者数が過去最高に達する勢いの中、その消費行動が変容しつつあることから先の読みづらさが顕在化し、各社が新たな戦略を立てる必要に迫られました。

 当社においては、新宿駅西口地区開発計画の進捗に伴い駅周辺のお客様動線が複雑化するなど、新宿店を取り巻く事業環境は依然として厳しく、外部専門店へお客様をアテンドするなど、店頭のみに依存しない新たな事業モデルの確立をはじめとする事業ポートフォリオの再構築に取り組んでまいりました。また、組織顧客の活性化に繋げる施策の一つとしては、友の会組織である「小田急レディスクラブ」の新規入会キャンペーンを実施し、前年同時期と比較して多くのお客様にご入会いただきましたが、全社売上高は前年実績に対してあと一歩という状況となりました。

 2026年を展望しますと、日本経済は緩やかな成長が見込まれる一方で、日中関係悪化など外部環境の不確実性や国内の構造的課題により、力強い回復は期待しにくい状況が想定されます。そうした中、デジタル化・オムニチャネル戦略の強化や国内富裕層の方々・外商のお客様・新規のお客様それぞれとの接点および関係強化による優良顧客の囲い込みがますます重要になると考えます。

 当社では、郊外の基幹店である町田店が本年9月23日に開店50周年を迎えます。これまで支えてくださった3世代に渡るお客様への感謝の想いをお伝えする大切な場であるとともに、これまで百貨店になじみが薄かった若年層のお客様との新たなリレーションを築く貴重な機会と考えております。「好きを叶えるマイストア」をコンセプトとして、年初より様々なイベントを計画しており、それぞれのお客様にとっての〝好き〟なモノ・コトに出会える場所と機会を提供する百貨店として、地域一番店ならではの心の距離の近さを感じていただきたいと思っております。町田店ではこれからの50年に向け、変わらぬ地域とのつながりを深めつつ、新たな驚き・発見をもたらす魅力ある店づくりを推進し、街づくりにも寄与してまいります。

 また、新宿店を中心に訪日客に対する旅前・旅中動線へのアプローチ強化などインバウンド需要の変動に対応した取り込みも積極的に推進するとともに、外商部門においてはデジタルツールを活用したお客様とのコミュニケーションの深耕に努めます。また外販催事への積極展開や外部店舗へのアテンドの継続など営業体制強化を進め、お取引先様との関係性の強化に一層努めてまいります。

 お客様との全ての接点において「顧客体験価値」を高め、目指す姿の実現と小田急グループの商業価値最大化に向け取り組んでまいります。

百貨店の仕事は「人々が豊かになるエネルギーを供給する仕事」。松屋は「未来の希望に灯を灯す、幸せになれる場の創造」をミッションとして掲げ、新しい一年も世界基準を目指して妥協無く、松屋らしく、取り組む

㈱松屋 代表取締役 社長執行役員 古屋 毅彦

 昨年、2025年もまた激動の一年でした。世界の秩序が大きく不可逆的に変化し、当面は世界情勢も経済も不安定なままだと思います。同時に日本においても長く続いたデフレからインフレへとシフトが始まり、株式市場も大きな変化に直面しています。このような状況下においても多くのステークホルダーと良好な関係を維持し、売上と収益を上げ成長して行くべく、2025年4月に発表した新たな経営計画の下で2050年までの長期的な目標を掲げ、更に1年ごとの計画を定め、着実に一歩ずつ前に進んでいます。

 主力の百貨店事業において、昨年の売上高は、免税売上高が減少したため前年に届きませんでした。しかし2024年の免税売上高は、中国本土ツーリストのアフターコロナのリベンジ消費、ラグジュアリーブランド群の値上げによる駆け込み需要、記録的な円安が重なり、大きな実續を上げました。この反動により昨年は減少しましたが、2023年と比較すれば伸長しており、コロナ前の水準も大きく上回っています。

 国内のお客様の実績については前年比102%と健闘しました。5月には銀座店が開店100周年を迎え、周年イヤーとして数々の施策を打ち出し続けたことで、多くのニュースを世の中に発信し続けることができました。個人外商やIDをいただいているお客様、さらに新たに来店してくださったお客様に好評をいただきました。並行して新規のID獲得にも尽力し成果を上げています。ルイ・ヴィトンの増床リニューアルオープン、隣接する銀座三和ビルにおいて「THE GINZA LOUNGE」のオープンもあり、新たな武器を揃えつつあります。浅草店も3階にギフトカウンターを移設、運営体制を切り替るなど業務改善に努力しながら、コンテンツ催事の採算改善に取り組み、自主企画の売場を増やすなど、少数精鋭、アイデアとバイタリティで成果を積み上げた1年でした。

 matsuyaginza. comは、9月に大きく体制変更し再スタートを切りました。このプロジェクトを始動した当初と大きく市場環境は変化していますが、デジタルの有用性は変わらず、より大きな影響力を発揮しています。AIの進化も著しく、デジタルへの適応は、我々が持続的に成長するために必須です。世界中の誰もが持っているスマートフォンに松屋がしっかりと存在していることが極めて重要です。小売である我々は最大の経営資源である銀座店を最強にすべくリアルの強化のみならずデジタルでこれを圧倒的に補完する必要があると思います。商品を見られる、選べる、買える、予約できる、商品を知れる、決済できる、ポイントも貰える、自分のステータスも見える、イベント情報もお得な情報も特別な情報も取れる。松屋からもリーチできる。お客様からもちゃんと タッチできる。これは絶対に必要な要素です。matsuyaginza. comはもっとお客様のために、リアルの松屋の強化のために推進していきます。

 百貨店の仕事は 「人々が豊かになるエネルギーを供給する仕事」だと思います。松屋は「未来に希望の火を灯す、幸せになれる場の創造」をミッションとして掲げています。新しい一年も、我々の商品やホスピタリティを通じて、幸せな場を社員一丸となって創り、そして世界基準を目指して妥協無く、松屋らしく、取り組んでまいります。

全てのお客様に「心のこもった笑顔と挨拶」をお届けしつつ、新しくできることや、見直しが必要なことをしっかりとリストアップし、スピード感を持って全員で取り組む

㈱山陽百貨店 代表取締役社長 高野 勝

 新年明けましておめでとうございます。

 日本全体がコロナ禍に苦しんで以来、昨年で丸5年が経過しましたが、あの時の苦しい経験があったことで厳しさに対する免疫力も強くなったのか、何とか乗り切ることが出来て今日を迎えております。

 その間、特に地方百貨店にあってはインバウンドの恩恵も殆ど受けることない中、各社共、それぞれ多くの工夫を重ねながらよく頑張ってこられたこと、そして当社もその一員になれたことを、今にして感慨深い思いでおります。

 加えて、当社ではそのつらさをきっかけに、社員全員で本当に多くの小さな工夫を積み重ねてきたこともあり、その工夫の多くが今もしっかりと会社の中で息づいております。

 また、自分達でももがき苦しむという本当につらい経験をしただけに、頻発する災害等で苦しんでおられる地域や住民の方々に対しても、心を寄せることの大切さを今まで以上に深く感じるようにもなってきています。デパート新聞社様が災害復興支援事業として取り組んでおられる「選べるガチャランド」も、少しでもお手伝いできればとの願いで弊社でも開催させていただきましたのも、私達が身を持ってコロナ禍で苦しんだ経験が大きな動機ともなっています。

 これからも、多くの方々と手を携えて災害復興支援活動を続けていける様、努力を重ねて参りたいと考えています。そのような中で、迎えた2026年も決してなだらかな景況ではないと思います。

 そのために、当社で新しくできることや、見直しが必要なことをしっかりとリストアップし、そしてその各々を実行課題としてスピード感を持って全員で取り組んでいく覚悟でいます。これは毎年の経営方針の柱でもあります。

 そして、そのベースになっているのが全てのお客様に「心のこもった笑顔と挨拶」をお届けするという社是です。

 昨年末にお客様からお礼のメールをいただきました。内容は次の通りです。

〜百貨店の正面玄関近くのポップアップショップで多くのお客様が並んでおられた時のことです。当社販売員が「寒い中お待ちいただき本当に有難うございました」そして、お客様が財布を収めた場所を忘れ、慌ててあっちこっち探しておられた時に「慌てなくても大丈夫ですよ。ゆっくりでいいですよ」と優しく声を掛けて下さいました。そのお心遣いに私の心の中が温かくなりました〜

 当社の様な地方の小さな百貨店では、話題商品や人気商品等売れ筋のものは中々仕入れすることは叶いません。

 そのような中でも、できることはいっぱいあると思っています。

 たった一本の蝋燭でもお客様の心の中が本当に温かくなるような心遣いもその一つかも知れません。

 これからも、時間がかかってもお客様の心に響くような接客があふれる地方の小さな百貨店になれるよう、全員で頑張っていきたいと思っています。

 今年も一年、全国の百貨店のご発展とその中で働いておられる方々の益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

デジタルの分野においても新たな挑戦を進めつつ、地域の皆様、商店街、事業者、行政との連携を深めながら、「人」「まち」「未来」をつなぐ百貨店として歩みを進める

㈱米子髙島屋 代表取締役社長 森 紳二郎

 新年あけましておめでとうございます。   

 現在、地方百貨店を取り巻く環境は、人口減少や消費行動の変化、郊外型商業施設やECの拡大などにより、大変厳しい状況が続いております。そのような中にあって、私ども地方百貨店は「モノを売る場」だけでなく、人が集い、交流し、地域の魅力を発信する拠点としての役割が、これまで以上に求められていると実感しております。

 私ども米子髙島屋は、まちづくりの中心的な存在として、中心市街地の活性化、商店街との連携強化、地域事業者との協業に積極的に取り組んでまいりました。今後も行政とともに歩いて楽しいまちづくりを推進し、官民連携によるイベントの発信や、今後想定される人出不足に対応する自動運転バスの走行(中心市街地や大学病院への輸送手段の確保)など一体となった取り組みに力を入れるとともに、企業誘致、空き家対策など幅広く貢献していきたいと考えております。

 店内においても、昨年はお客様にとって魅力的な新規集客催事も多数開催させていただきました。その中でも災害復興支援事業として有意義なイベント「選べるガチャガチャランド」は夏休みの期間中ということもあり、多数のお客様にご来場いただきました。その売上の一部を西日本の災害に寄付をすることで少しでも被災者のお役に立てばと思っております。

 また、デジタルの分野においても新たな挑戦を進めてまいりました地方百貨店発のECモール「百貨店ドットコム」がスタートしました。これは、地方の百貨店や地域の名店、メーカーの商品を一つのオンラインモールに集約し、全国へと発信する仕組みです。実店舗の垣根を越え、地域の魅力をデジタルの力で広げていくことを目指しており本年度も参加店舗を増やしていきたいと考えております。この取り組みは、地方百貨店同士が連携し、地方の百貨店が地元の良いお品物を全国に発信し新たな価値を創出する挑戦でもあります。地方から全国へ、そして次世代へとつながる持続可能な流通モデルを築いていきたいと考えております。本年も、地域の皆様、商店街、事業者、行政との連携をさらに深めながら、「人」「まち」「未来」をつなぐ百貨店として歩みを進めてまいります。

 本年が皆様にとりまして、希望と活力に満ちた一年となりますよう、心よりお祈り申しあげます。 

2026年も商売繫盛・満願成就の1年となるよう、笑顔あふれる売場、笑顔あふれる職場にしていき、積極的にチャレンジ・トライを繰り返し、さらに前進する

㈱京王百貨店 代表取締役社長 南 佳孝

 謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 昨年は、中期経営計画がスタートし、2030年度の目標に向け、さらなる飛躍に向け、力強く一歩を踏み出す年となりました。新たな企画やイベントへの取り組み、新たな販促手法や顧客接点の取り方、仕事の仕方や売場・職場環境の改善等、「まずはやってみよう!」の精神が実践につながってきました。結果として、新しいお客様や若い世代のお客様にご来店いただく機会を増やしつつ、組織顧客としての京王ファンを増やす良いサイクルが回り始めた意義のある1年となりました。

 2026年は、中期経営計画の中間点である2027年度やアグレッシブな目標を掲げた最終2030年度に果実を結実させるための大切な仕込みのタイミングで、結果としての数字以上に、取り組みの内容が問われる年になります。

 特に、事業環境の変化に伴い売上のポートフォリオが動いていく中で、売上を利益の増にどのように効率よく結びつけるかが重要なテーマになります。より利益の取れる売上のつくり方、より付加価値を生めるコストの使い方、より効率的・効果的な運営や仕事のあり方などをしつこく探し続け、積み重ねていくことがこれまで以上に大切になります。

 一方で、百貨店の魅力である「夢」や「楽しさ」「行けば何かあるというわくわく感」に対するお客様の期待にも応え続けなくてはいけません。「個性」や「らしさ」の追及には、より積極的に取り組んでまいります。

 3月には、聖蹟桜ヶ丘店が開店40周年の節目を迎えます。

 聖蹟桜ヶ丘駅周辺は、京王グループが、重要拠点として魅力あるまちづくりに継続して取り組んでいますが、まちのシンボルでもある「京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンター」の開業時から、キーテナントの一つとして共に歩んでまいりました。ショッピングセンターを運営する㈱京王SCクリエイションと一緒に、そしてお客様と一緒に、40周年を大いに盛り上げてまいります。当社は、㈱京王SCクリエイションとの統合に向けた取り組みを進めていますが、聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンターにおいては、お客様目線に立ったMDの再構築や一体運営のあり方について、すでに具体的な取り組みが始動しており、今年はさらに本格化させてまいります。両者の強みを掛け算で活かし、さらなるまちの魅力アップに寄与する商業施設に進化・深化させてまいります。

 インバウンドや物価の動向、気象変動による影響など、取りまく環境は厳しいものや不透明な要素もありますが、2026年も、商売繁盛・満願成就の1年となるよう、笑顔あふれる売場、笑顔あふれる職場にしていきます。そして、従業員やお取引先の皆さんの知恵と力を結集し、魅力ある個性の追求と稼ぐ力の強化、損益分岐点の引き下げに積極的にチャレンジ・トライを繰り返し、さらに前進してまいります。