デパートのルネッサンスはどこにある? 2025年8月01 日号-第120 回 池袋西武 寺岡店長インタビュー



そごう・西武の労働組合委員長から西武百貨店池袋店の店長に就任した寺岡泰博氏に1年ぶりに話を聞いた。
前号の3面記事でもお伝えしたが、そごう・西武広報部からご招待を頂き、2025年7月8日の9時スタートの「池袋西武3階 化粧品売場リニューアル内覧会」に参加した。
広報担当者や化粧品MDの説明に続き、西武百貨店池袋本店の寺岡店長へのインタビューが目的である。
このコラムの常連(失礼!購読者諸氏)は既にご存知の様に、本年5月1日に、新たにそごう・西武のフラッグショップである池袋西武の店長に就任した寺岡泰博氏は、その前日までは、そごう・西武労働組合の中央執行委員長であった。
本紙では一昨年2023年8月31日に実施された61年ぶりのストライキ(池袋駅東口でのデモ行進も同日実施)を挟み、計3回に亘り寺岡氏の単独インタビューを敢行した。
今回は、池袋西武リニューアル第一弾として、3階コスメフロアの「お披露目」の場でもあり、囲み取材への参加、という西武広報の趣旨に沿う形となった。
私見だが、寺岡氏が店長に就任し「経営側」となった事で、いささか取材へのガードが堅くなった印象だ。
まぁ、企業の広報とはそうしたモノであろうが。
前置きが長くなった。早速取材内容に入ろう。
先ずは広報部長とアイテム責任者からだ。
小室広報部長
本日はよろしくお願いいたします。まず最初に池袋本店のブランドマネジメント部渡辺より、改装のポイントをご説明させていただきます。
皆様とご一緒に15分ほど売場の中を回りながらご説明いたします。その後、質疑応答の時間を10分ほどとっております。
渡辺からのご説明は質疑応答を含め10時で終了予定です。10時の開店と同時にご招待のお客様が入店してこられますので、お迎えの音楽が鳴っている間は、撮影をお控えいただければと思います。
開店後はフロア内でまた順次撮影をしていただきます。また、この時間帯を使いまして、池袋本店店長の寺岡の囲み取材もお受けいたします。なお、本日の内覧会は10時半で終了の予定でございます。それでは渡辺さん、よろしくお願いします。
ブランドマネージャー渡辺部長「インクルージョンについて」
皆様、おはようございます。よろしくお願いいたします。
本日ご案内をさせていただきます、西武池袋本店ブランドマネジメント部の渡辺郁子と申します。 よろしくお願いいたします。 本日は朝早くから内覧会にお集まりいただきましてありがとうございます。
では、小室からもございましたが、この後15分ほど使わせていただきまして、売場の中を皆様と一緒に移動させていただき、簡単な説明をさせていただきます。
その後、質疑応答にお答えをさせていただきたいと思いますので、ご協力よろしくお願いいたします。
いよいよ明日7月9日、西武百貨店池袋店のリニューアル第1弾といたしまして、この3階コスメフロアをオープンさせていただく運びとなりました。
今回、館全体のテーマはインクルージョンでございます。
インクルージョンをテーマに館を作っていくということで、年齢ですとか性別、国籍、そういったものと関係なく、ハイブランドですとか、あとはライフスタイルに沿ったところをテーマに、この売場作りをさせていただいております。
このワンフロア、見ていただくとお分かりになるかと思うのですが、今回このワンフロアの中に47ブランドが入ることになっております。
只、今日の段階につきましては、一部工事がまだ終わってないところもございますので、本日の内覧会のタイミング、そして明日の7月9日のオープンのタイミングでは、41ブランドが先行オープンさせていただくことになっております。
唯一ワンフロアで47ブランド有しているというのは、都内では最大のブランド数となっています。これが今回の一番の私どもの「強み」としてご紹介させていただきたいと思っております。
この後少し移動させていただきまして、主なブランドの特徴をご紹介させていただきたいと思っております。
※以下、主要3ブランドの概要を記す。
ディオール
元々コスメとファッションは別々の売場展開となっておりましたが、今回はひとつのテーマでくくりまして、このショップの中にコスメと合わせて、ファッション、サングラスやアクセサリーといったところも展開させていただいております。
こちらがディオールビューティーとなっております。
ゲラン
今回フレグランスを中心に展開をさせていただいております。ギフトのパッケージなども強化して、展開をスタートさせていただいております。また、キャビン(カウンセリング等を受ける着席スペース)ですが、売場の中に併設をされていて、お客様の入店の敷居を低くしています。特に若い方については入りやすいかな、という作りとなっております。
ラメール
今回の内覧会のタイミングでの新しい取り組みは、お客様へのスキンケアの強化というところと、サービスもそうですが、ゆったりした時間を過ごしていただきたいというテーマです。
「集積展開により顧客体験の向上を図る」
私たちが今回一番の強みだと思っているのは、最初にお話をさせていただいたのですが、ワンフロアで47が試せるということなんです。
これって、首都圏でしたら、うちが1番であることは間違いないと思います。
他の百貨店ですと、だいたい40ブランドぐらいで、かつフロアが何層かに分かれて展開をしているので、いろんなフロアを回って試してお買い物をしなければいけなかったと思うんですね。
でも今回弊社については、47ブランドを3階のワンフロアで集積展開することが出来た訳です。また、コスメが1階であった時との違いって、ショップの間口が今までですと、細長い中にブランドがギュッと入っていたのと、間口が1つきりだったりしたんですよ。なので、以前はお客様は店舗に入ったら買わなきゃいけないとか、ちょっと入りづらいみたいなところがあったと思うんですね。
ですが、それを各ブランド様にご協力いただいて、導線を3方向から取ることによって、入り易い様に工夫をしています。
それから各ブランドとも通路側の面を広く、取らせていただいています。
なので、テスター(試供品)の台を今までよりも増やしています。今まではテスターが一つだったところを、2つ同じものがあって、お客様が自分の手で取って試せる様にしました。
自分である程度決めて、47ブランドいろいろこう試して回って、その中でご自分が納得されてこのブランドと決めていただき、買っていただけるようになった。
こういったところを今回は一番見ていただきたいと思っています。
開店
さて、10時の開店のチャイムと共に、ご招待顧客がエスカレーターを上って来店した。
各ブランドのスタッフは各々の店頭でお出迎えの体制をとった。
本年3月12日から、本館(池袋駅の直上)からJR線沿いを南下した別館2階・書籍館2階で、無印良品や三省堂書店の傍かたわらで仮営業を余儀なくされていたコスメの販売スタッフ達の顔も、嬉しさの中に、少し引き締まって見えた。年寄りの感傷かもしれないが。
エスカレーター前の正面には、寺岡店長が腰を折って顧客に挨拶をする姿があり、それは来店客が途切れるまで何分間も続いた。
労組の委員長としてストライキの陣頭指揮をとった一昨年の夏。それから2年後の夏に、リニューアルフロアで店長としてスタッフの先頭に立っている自分を、寺岡店長が全く想像していなかったことだけは確かだ。
※以下に寺岡店長の囲み
取材を記す。
①リニューアルのポイントを問われ。
寺岡店長
「百貨店として、我々が一番の強みと思っていたラグジュアリーブランド、化粧品、それからデパ地下。この3つが元々強い領域だったので、そこをいち早く結果に出来たという事です。
今日はお客様が開店時からたくさんお見えにこの間ずっとですね、改装工事中でいろいろご迷惑をおかけしました。
それでも今日までお待ちいただいてしまいましたので、今日からはしっかりとやっていきたいと思います。」
②池袋西武はエリアで評価されているとは思いますが、お休みした期間がある訳で、新しい客層ですとか、客数を増やすためにやっていることは、と問われ。
寺岡店長
「客数を増やす事はもちろん大事なんですけど、ええ、株式譲渡から約2年経っています。まあ、この改装も一年前から決まっていますからね。
先ずは今までご愛顧いただいていたお客様にしっかりと戻って頂いて、その上で、新しいお客様にも来ていただきたいです。
今回はだいぶラグジュアリーも強化しますので、これまでなかなか取り込めていなかった、そういったお客様もいらっしゃると思われるので、そういった客層にも、アプローチしていきます。
只、先ずは地域の人たちに喜んでいただくお店にするということが、大切だと思います。」
③T経済です。開店おめでとうございます。2件伺わせてください。
当初、改装オープンの第1弾の予定が今年の1月だったかと思うんですけど、それがちょっと今現在7月まで延期してしまったっていうのが事実だと思うんですけど、この延期による影響で、何かこう、会社ですとか、お店自体に何かまあ、ネガティブな話ですとか、改装のスケジュールがまだ全面改装がいつまでって決まってないとは思うんですけれども。そういった話はいかがでしょうか。
寺岡店長
「はい。えっと、もちろんですね。当初発表した、まあ日時というのは夏(春?)ということだったので、それからは少し崩れているという事実はあると思います。
ええ、只一方で、工事がなかなか進まない中で、無理にですね、営業を予定通りにさせるというのも、一方で安全安心を考えるのは難しいかなと思っております。
やはりこのビル自体は相当古いビルでしたから、床とか天井をですね、斫はつってみると、なかなかこう図面にないような、そんな配線もあったりとか、そういった区画もありましたから、そこを丁寧に、お客様に安心安全な売場を作るために、あえて丁寧に行ったということですから、そういう意味ではお客様をお待たせしてしまったという事実はありますけども、万全の体制で今日は迎えることができたかなと思います。
全面改装ですが、今、今日時点で言えるのは、既に提出されているアナウンス以上の予定は立っていないんです。だから来年にかけて工事が進むということ自体は変わっていないです。」
④やはり長い改装期間があったので、この間に営業を終了してしまったブランドさん、売場さんもあったかと思うんです。そういった営業を終了してしまって、そこからまたそのブランドに戻って貰おうかみたいな感じなんでしょうか。化粧品だけでなく、デパ地下とか、他のカテゴリー含めて。
寺岡店長
「あの、まあ百貨店ですから、まずはやっぱり顧客とのつながりは大事にしたいと思っています。
今日も化粧品のフロアですけども、やっぱり、この一年、売場がですね、やっぱり3回も4回も移動している状況があります。
只、あの馴染みの販売員さんがいるっていうことの中で、その間もあの、営業していただいておりますから。やっぱりそういう販売員さんとの接点ですね。百貨店ならではというわけですが、これまで大事にして来たんですから、これからもしっかりとやって行きたいと思います。」
⑤すみません、A新聞です。今日、店長がこうやっ我々のご対応していただいているから、まだご覧になっていないかもしれません。
今日、久しぶりに開店してですね、やっぱりこうやってお客さんが「どーっ」と入ってくれるとですね、久しぶりにお客さんと触れ合うことができる感慨、そういったものはどのようにお考えになりますでしょうか。
寺岡店長
「そうですね、私も元々組合からの転身ですけども、今、10時の開店でエスカレーター上がってくるお客様に、久しぶりにいらっしゃいませの挨拶をさせていただいて、やっぱりいろんな思いが駆け巡ったというのは確かです。
それは私ですらそういう風に思うっていうのは、やっぱりずっとこのお店で営業してきて、販売してきたメンバーの方が、多分もっといろんな思いがあったと思います。
その思いをしっかりと、今日はお客様に伝えて、明日以降のお客様とのトークにおいて、しっかり感謝をお伝えしていきたいと思っております。
今日来ていただいたのは、今までもお馴染みのお客様の中で、その化粧品のお客様が中心だと思うんですけども。」
「一方で今日はですね、皆さんにもお配りしましたけど、ピンクのバラを用意させてもらいました。これ花言葉「感謝」なんですね。
私はやっぱりこの1年2年、いろんな思いの中で地域のお客様に助けていただいた、励ましてもらったことがいっぱいありました。ぜひそのことを形にしたいと思って、ご用意させていただきました。
実際にお客様が、この後、皆様が気持ちよくお買い物してお帰りいただければですね、今日1日、本当に開店できてよかったなという感じだと思います。
あの、そごう・西武という、この「のれん」と言うかこの「ブランド」は大事にしていきたいと思います。
百貨店業としてですね、やっぱり持っている安全、安心、信頼、こういったものはこれからも変わらずにですね、やっていきたいと思っています。
一方で、その新しいという事でいうと、まあ今回はそのフルターゲットのフルサービスは残念ながら面積の問題があって出来ませんが、絞った領域に関しては、まあ圧倒的なスケールで磨いていきながらですね。
まあこの化粧品、それからラグジュアリー、それからデパ地下に関しては、他を凌駕するカテゴリーキラーとして、これからもブラッシュアップをしていきたいと思っています。
地域のお客様にもしっかりこれまで通り楽しんでもらいつつ、強化する領域については、これまで以上の内容で、少し今までとは違う、百貨を扱う百貨店ではない、そういった形でですね、新しい百貨店を目指していきたいですね。」
⑥ヨドバシについて。
寺岡店長
「これはあの代表からも言われている話ですが。まあ、ヨドバシさんはどちらかというと日常的なデイリーな商材。一方我々はどちらかというとトレンドを発信したり、あるいはその非日常的な空間をウィンドウショッピング含めて楽しんで頂ける、そういった役割、機会があるということですから、そこをうまく棲み分けしながら共存していきたいと思います。」
広報より補足説明
3階コスメフロアの売上想定について、補足させていただきます。コスメのフロアとして、この後12月に1階にフレグランスができるんですけれども、コスメの売場が1階も含めて全部開いてから、改装前の売上の145%です。
これを目標にしています。
※筆者注
取材の内容は敢えて要約せず、ニュアンスを伝えるため、できる限り発せられた言葉のまま記した。読みづらいと思うがご容赦願いたい。

デパート新聞編集長
