8 月免税売上高、6か月連続マイナスも減少幅大きく縮小

日本百貨店協会が9月25発表した8月の全国百貨店における免税売上高(インバウンド売上高)は、前年同月比4.7%減の441億7千万円となり、6か月連続で前年割れとなった。ただし、減少幅は前月比で31.6ポイント改善し、本年初めて一桁台の減少率に縮小。売上高自体も本年2月以来の高水準に回復した。
この回復の背景には、円相場が前年並みに安定して推移したことに加え、24年3月から7月にかけての歴史的な円安( 1 ドル= 1 5 0 .160円台)による一時的な需要増の反動が収束したことがある。また、訪日外国人旅行者数の増加に伴う来店客数の回復が、購買単価の下落を一定程度補完したことも寄与している。

購買単価については、高級ブランド品の売上低迷により下落傾向が続いていたが、2025年2月以降では最も高い水準となり、安定化の兆しが見られる。これを主因として、7月下旬以降、インバウンド売上高は回復基調に転じている。
全国百貨店売上高、7か月ぶりに前年上回る

一方、国内市場の売上は、入店客数が9か月ぶりに6.1%増になったことや、長引く残暑で盛夏商材が引き続き好調に推移した他、夏休みのファミリー向けイベントや物産展等の催事が好調で前年のインバウンド売上高増の反動影響も縮小したことから、8月の全国百貨店売上高は、7か月ぶりに前年同期比2.6%増加し4139億円だった。

なお、インバウンド売上高が全国百貨店売上高に占める構成比率は10.7%(前月8.6%)に上昇した。
(図表1、2、3、4参照)
購買客数、8月としては最高更新
8月のインバウンド購買客数は4か月ぶりにプラスに転じ前年同月比8.9%増加し8月としては最高の49万4千人だった。
国別の購買客数は、中国が最も多く、次いで台湾、韓国、香港、タイ、シンガポール、マレーシアの順であった。特に中国、台湾の購買客数は二桁の伸び率であった。因みにこれまでの購買客数の記録は57万9千人(24年6月)である。
一人当たり購買単価マイナス幅縮小
一人当たりの購買単価は、前年1月〜3月にかけてのラグジュアリーブランドの値上げ前に見られた需要増の反動を受け、前年同月比12.4%減の約8万9千円となった。これにより、本年2月以降、7か月連続で前年割れが続いている。ただし、減少幅は徐々に縮小傾向にあり、下げ止まりの兆しも見られる。
なお、24年5月の一人当たり購買単価12万6千円が、これまでで最も高かった。
売上人気商品、化粧品・ハイエンドブランド・食料品・婦人服飾雑貨
売上構成における人気商品は、前月とほぼ同様に、化粧品、ハイエンドブランド品、食料品、婦人服飾雑貨、美術・宝飾品が上位を占めた。中でも、化粧品や食料品などの消耗品カテゴリーにおける売上高は、前年同月比で18.5%の増加となり、堅調な伸びを示した。
訪日客数、8月として初の300万人突破

日本政府観光局(JNTO)が9月17日に発表した8月の訪日外国人旅行者数(推計値)は、前年同月比16.9%増の342万8千人となり、8月として初めて300万人を超え、過去最多を記録した(前年同月比約49.4万人増)。
また、本年1月から8月までの累計訪日外国人旅行者数は2838万人となり、前年同期比で18.2%の増加を記録した。このままの増加ペースが継続した場合、年間訪日客数は4000万人を超える可能性が高く、政府が掲げる2030年までに6000万人という目標に向けて、大きく前進する見通しである。

訪日外客数の増加に寄与した主な要因としては、日本への旅行人気が継続している状況下において、学校休暇期間に合わせた訪日需要が高まったことが挙げられる。特に、中国(前年同月比27.2万人増)、台湾(同5.6万人増)、韓国(同4.8万人増)をはじめ、インドネシア、ベトナム、米国、ドイツ等からの旅行者数が増加したことが、全体の伸びを後押しした。
(図表3、6参照)
8月訪日客数、トップは中国、次いで韓国、台湾、香港、米国
8月の国・地域別の順位は、中国からの訪日客が101万8600人と最も多く、次いで韓国(66万人)、台湾(62万人)、米国(19万人)、香港(22万人)の順で、この上位5か国で全体の79%を占める。(図表5参照)
台湾、スペインは単月過去最高更新、18か国・地域が8月として過去最高
単月で過去最高を更新したのは、台湾とスペイン(3.2万人)。
8月として過去最高を記録したのは、18の国・地域(中国、韓国、マレーシア、フィリッピン、インドネシア、ベトナム、インド、豪州、米国、カナダ、メキシコ、英独仏伊露、北欧、中東)。
上位5か国の動き
中国からの訪日外客数は1018600人(前年同月比36.5%増)となり、19年8月以来初めて100万人を突破し、同年7 月の過去最高105万人に迫った。運城〜中部間の新規就航や西安〜福岡間の復便など地方路線の拡充に加え、クルーズ船の寄港増加などが奏功し、8月として過去最高を記録した。
台湾からの訪日外客数は620700人(前年同月比10.0%増)であった。8月中旬に台湾に上陸した台風の影響により一部航空便に遅延・欠航が生じたものの、台中〜那覇間および台北桃園〜那覇間の増便、台北桃園〜下地島間のチャーター便運航等が後押しとなり、単月として過去最高を更新した。
香港からの訪日外客数は226100人(前年同月比8.3%減)にとどまった。日本国内における地震発生に関する根拠のない情報がSNSなどを通じて拡散されたことや、8月中旬に香港へ接近した台風の影響で航空便の運航に支障が生じたことなどが影響し、前年同月を下回る結果となった。また、シンガポールからの訪日外客数も地震に関する噂の影響で減少した。
米国からの訪日外客数は194500人(前年同月比11.7%増)となった。学校休暇期間の影響や継続する日本人気に加え、前年同月と比べて直行便の運航数が増加したことなどが寄与し、8月として過去最高を更新した。
