池袋家電戦争その後 - ヤマダとヨドバシ -(前編)

 本コラムでは、2023年11月15日号「西武vsヨドバシから考える百貨店と家電の未来」で言及した、池袋家電戦争の続編をお届けする。

 出店が間近に控えたヨドバシと、それに備えるビック、ヤマダといった構図だ。

ヤマダ電機

ヤマダ、9月12日リニューアルオープン「池袋本店」でヨドバシ進出に対抗

 9月11日、ヤマダホールディングスは、翌12日に改装開業する「LABI池袋本店」をメディア向けに公開した。家具・インテリアの売場(大塚家具)を近隣店舗に集約し、家電の品揃えを1・5倍の規模に拡大した。年内にも西武池袋本店の縮小ゾーンへ出店するヨドバシカメラに対抗する狙いだ。

 ヤマダHD山田昇会長は「元々私らは電器屋で、ヨドバシさんはカメラ屋。互いに魅力のある店を作っていけば、池袋は日本を代表するような家電の街になる」と池袋での競合に前向きだ。「家電専門店として50年以上の歴史を持つ当社だからできる圧倒的な品ぞろえと、親子3世代が楽しめる提案型の売り場を作った」と強調したのはナンバー2の上野社長。ヤマダHDは暮らしに関連する商品を一元的に提供する「くらしまるごと」戦略に力を入れており、これまではLABI池袋本店で主力の家電に加えて家具なども販売してきた。

 それを今回、大塚家具のゾーンは店舗を分離し新たに「IDC OTSUK A池袋ショールーム」として家具・インテリアの売り場を集約した。そのスペースを使い、LABI池袋本店の家電売場を増床し、ヨドバシとの家電戦争に勝ち残る戦略なのだ。

家電回帰

 LABI池袋本店はパルコやISPから直結する地下2階から地上6階まで売場を展開している。総売場面積は約5000坪(1万6500平方㎡)で、「家電売場としては最高峰の大きさと品揃え」を強調した。玩具、化粧品、運動用具なども取り扱い、これまで以上に子供からシニアまで幅広く集客する目算だ。

 筆者には、6階でアンパンマンの等身大人形が居並ぶキッズコーナーが印象的だった。大塚家具の店舗でも使えるポイントや家電と家具を共同配送するサービスによって相互送客する、という。尚、詳しくは後述するが、大塚家具はライバルであるビックカメラの向こう隣りに移った。
※ここで画像を参照いただきたい。左が2023年のビック、ヤマダの各ビルが林立する様子。右が2025年9月の撮影だ。左の画像の左側に映るビックカメラの右側にある「YAMADA池袋2号館」が右の画像では「IDC OTSUKA 池袋ショールーム」となっている。

 そして、左の画像の右端に映る「LABI1Life Select池袋」の看板表記が右の画像では「LABI池袋本店」と変わり、ヤマダ電機の家電回帰を示している。

デジタルサイネージ

 ヤマダは情報発信にも力を入れる。店内には調理家電コーナー等の体験ブースだけでなく、新たにライブコマース用のスタジオを設け、店舗の外装にはデジタルサイネージを設置するなど、随所に独自感を施した。山田会長は「改装にあたり、郊外に新店舗を作るくらいお金を掛けた」と話した。
※とは言え、画像を見ると、デジタルサイネージに「全額ポイントバック」と赤文字で大書してあり、大型懸垂幕が「電光掲示板」化しただけ、と言ったら厳しすぎるだろうか。

 前述した様に、ヤマダHDが店舗改装を急いだのは、駅直結で好立地の西武池袋本店に出店するヨドバシに対抗するためである。もちろん池袋には本社を構えるビックカメラも近隣に複数の店舗を展開している状況も変わらない。こうしたヤマダの改装開業とヨドバシの進出によって、池袋エリアの家電戦争が本格的に激化するのは避けられない。

 山田会長の言う「家電の街」発言も間違ってはいない。首都東京は広い。山手線を挟んで「東の秋葉原。西の池袋」という時代を作ろう、という意図は判る。新宿の家電街も中々広いが。※今現在秋葉原が「家電の街」であるかは筆者にも解らない。ちょっと前までは「オタクの街」だった様な気もするし。

 さて、池袋の「家電量販店の勢力地図」を思い出すため、2年弱遡った本コラム、2023年11月15日号「西武vsヨドバシから考える百貨店と家電の未来」を以下参照する。

続く家電戦争

 池袋駅東口にあるパルコ。その北側には、山手線に沿ってヤマダ電機とビックカメラが立ち並んでいる。ここで、池袋西武の本館北にヨドバシカメラが入れば「三つ巴どもえ」の戦いが避けられないのは、誰の目にも明らかだ。

 もう少し詳しく説明すると、池袋駅東口の明治通り沿いを、池袋西武本館北と池袋パルコを左手に見ながら北上すれば、そこにビックとヤマダが「仲良く」並んでいる。

 そして、通りの向かいの旧三越跡に、LABI1 Life Select池袋(ヤマダ電機日本総本店)、その北側にビックカメラ池袋カメラ・パソコン館が位置し、明治通りを挟んで「たすき掛け」にライバル家電2社が睨み合っているのだ。
※因みに前項で9月12日に「LABI池袋本店」がリニューアルオープンした事はお伝えした。ヤマダ電機は傘下にある大塚家具を「ビックカメラ池袋本館」の北側に独立させ、メインの三越跡にすべての家電を集約させた。くどい様だが、駅前で存在感をアピールし、来るべきヨドバシに対抗しようと先手を打った形だ。 

 「家電の街」と言えば秋葉原、とは今は昔。市場規模7兆円を超える家電量販店の覇権争いの中心は、今や池袋なのだ。

 豊島区の故高野区長も生前「家電戦争に巻き込まれずに、文化の街『池袋』を守りたい」という主旨の発言をされていた。
傍観している、とは言えないが、後任の区長には、残念ながらそこまで「池袋の文化を守りたい」という強い意志は感じられない。(中略) 自治体の首長の「意志や覚悟」はいかに大事か、という話だ。

YBYK戦争

 池袋東口を舞台に勃発するのは、前号で掲出した家電量販店「売上高ランキング」の上位3社の争いだ。念の為おさらいをしておこう。
※データは2023年度

図1.「家電量販店」売上ランキング

※この家電量販店、売上上位4社のイニシャルをとってYBYKである。
※最新の売上上位6社だが、子会社を含めた企業もあり、あくまで指針として見て欲しい。

 店舗数を見ると一目瞭然なのだが、ビックとヨドバシは都心戦略をとっているので、1店舗当たりの面積は大きいが、店舗数は2桁止まりだ。一方、郊外戦略を取るエディオンやケーズの500〜1000店舗というのは小〜中規模店が多く含まれているという意味だ。

 そして王者ヤマダは郊外拠点の量販店を傘下に収めつつ、池袋の様に都心への進出に注力し始めた、という事を示している。

 池袋東口には、家電量販店チェーンで唯一売上高1兆円を超える「絶対王者:ヤマダデンキ」と本社を豊島区に構える「ビックカメラ」の旗艦店や系列店がそこかしこにある。西口にもビックカメラのほか、東武百貨店に「ノジマ」が入居する。

 池袋電気街(勝手に命名?)を歩いてみると、家電を品定めする客は、各店舗をハシゴしているのが判る。
※以上再掲載(注:太字の部分は今回加筆した)

次号に続く