渡辺大輔のデパート放浪記
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第11回 岐阜その5)

 旅をすると、その土地の「ソウルフード」を食してみたくなる。昨年4月に青森県弘前市へ出かけた際には、中三の地下にある「中みそ」がそれに当たるというので訪ねてみた。細め麺に絡むスープは優しい甘みがあって、デパートにふさわし […]

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渡辺大輔のデパート放浪記
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第10回 岐阜その4)

 すでに30人ほどが列を作っていた。2024年7月31日の午前8時半、この日で47年の歴史に幕を閉じる「岐阜タカシマヤ」の正面玄関前だ。  先着470人にバラの花が贈られるのだという。行列はそのためか。よそから訪ねてきた […]

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渡辺大輔のデパート放浪記
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第9回 岐阜その3)

 静かな商店街の散策をさらに続けると、やはり間口の小さい食料品店が目に留まった。入口のガラス戸にはポスターを剥がした跡が点々とある。中に人の姿はないが、明かりはついているので営業しているのだろう。ただし棚にはほとんど商品 […]

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渡辺大輔のデパート放浪記
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第8回 岐阜その2)

 軒先で寝そべるワラビに、つい足を止めてしまった。  タカシマヤの巡回が終わった後、近くをぶらついていた時のことだ。とある食料品店に注意を引かれた。売り場は数人も入れば窮屈になりそうなこぢんまりとしたもので、棚の商品も決 […]

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渡辺大輔のデパート放浪記
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第7回 岐阜その1)

 来る日を間違えてしまったか。  火曜昼の商店街は、私の足音がアーケードに反響するのではないかと思うほど静まり返っていた。多くの店がシャッターを下ろし、そうでない店はガラス扉の奥を暗がりにしている。  私の住む山形市でも […]

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渡辺大輔のデパート放浪記
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第6回 郡山その4)

 郡山の空を薄く覆う雲は、わずかな裂け目から日差しをこぼした。その光を受け、うすい百貨店の外壁が輝く。正面玄関前には3台のタクシーが並んでいて、一番後ろの車はドアの外にやや腰の曲がった運転手をもたれさせていた。「まあ、デ […]

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英雄たちの経営力
英雄たちの経営力 第12回 大隈重信 その5(最終回)

(承前)  ただし元老や陸海軍を無視し、矢継ぎ早に自分の政策を実現させていく大隈への反発は強まっていた。この時点では、薩長藩閥から軍閥へと成長した陸海軍を抑えきることは困難だった。そんなことから山縣との関係が悪化し、大隈 […]

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渡辺大輔のデパート放浪記
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第5回 郡山その3)

 あと1週間早く訪ねていればと悔やんだ。見上げた木はもはや色彩を失い、薄曇りの空を透かす。反対に、その足元に花びらの点描を広げていた。  駅から西に3㎞ほど離れた開成山公園は「観光地もない」と自嘲の聞かれる郡山でも「桜の […]

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英雄たちの経営力
英雄たちの経営力 第12回 大隈重信 その4

(承前)  後年の回想によると、大隈は使節団に選ばれなかったことに失望するというより、さっさと頭を切り替え、留守政府の中心となって様々な改革を断行するつもりになっていたという。つまり自らの孤立を知るや、それを逆手に取って […]

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渡辺大輔のデパート放浪記
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第4回 郡山その2)

 「今はさすがにないけどね。昔は卒業式の日になると、高校の前に迎えの車が並ぶのよ。そういう人たちの、ほら、いかついのが。乗ってく子だって、親がそうってわけでもない。先生の息子だったりね」 (ある商店にて)  作家の大江健 […]

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渡辺大輔のデパート放浪記
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第3回 郡山その1)

「じゃあ、泥棒でもして税金払えってか?」  憎々しげに吐き捨てた男は、50代半ばといったところだろうか。ねずみ色の作業服を着て、向かい合わせに座った同じ格好の若者に延々と愚痴を聞かせている。  私は、郡山駅前を30分ばか […]

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英雄たちの経営力
英雄たちの経営力 第12回 大隈重信 その3

鉄道敷設  大隈の事績のうちでも、近年とくに注目が集まっているのが東京・横浜間の鉄道敷設だ。  近代化を図る上で、物流の重要性は計り知れない。すなわち日本は四方を海に囲まれているため、海運や河川舟運が物流を支えてきた。だ […]

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渡辺大輔のデパート放浪記
渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第2回 山形)

 父の放つ駄じゃれを鼻息だけであしらっていた。そうなったのは中学に入学した辺りからか。夕食時に母が「ソース出すから」と言うと、父は「ソーッスか」などと反応する。居間はたちまち静寂に包まれ、家族の鼻息とため息だけがかすかに […]

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英雄たちの経営力
英雄たちの経営力 第12回 大隈重信 その2

(承前)  その後も政局とは距離を取っていた佐賀藩と大隈だが、中央の政局は予断を許さないものとなっていた。慶応二年( 一八六六) の第二次長州征伐の失敗は、幕府の屋台骨を揺るがすほどで、これにより幕府の先が見えてきた。と […]

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英雄たちの経営力
英雄たちの経営力 第12回 大隈重信 その1

分かりにくい男  大隈重信という名を聞いたことのない人は少ないだろう。では何をやった人かと問われれば、十人中九人が「早稲田大学を創設した人」と答えるはずだ。かくゆう私も卒業生の一人として、歴史に携わる前までは、それしか知 […]

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渡辺大輔のデパート放浪記
<新連載> 渡辺大輔のデパート放浪記 - ペンを捨てよ、街へ出よう - (第1回)

 また1つデパートが消える。  かつて憧れとして街に君臨した存在は、今や病人のように心配のまなざしを向けられている。  デパートと街との関係は、なぜ、どのように変わってきたのだろうか。当連載ではさまざまな地域を放浪しなが […]

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英雄たちの経営力
英雄たちの経営力 第11回 大久保利通 その5

(承前)  これに大久保は愕然とした。留守政府は自分がいない間に新しい政策を出しまくり、参議も増員されていたからだ。つまり「十二カ条の約定書」など無視されたことになる。  大久保は休暇を取って頭を冷やそうとするが、このま […]

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英雄たちの経営力
英雄たちの経営力 第11回 大久保利通 その4

(承前)  そして十二月、王政復古の大号令が下された。この時、春嶽と容堂が慶喜の寛典を説くが、これを岩倉具視と大久保が一蹴する。かくして慶喜に辞官納地が申し渡されるが、それで慶喜らが収まるわけがない。  ただしこの時点で […]

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英雄たちの経営力
英雄たちの経営力 第11回 大久保利通 その3

(承前)  少し時はさかのぼるが元治元年三月、水戸藩尊攘派が鎖国を主張して決起する。天狗党の乱である。これを断固弾圧する方針の幕府は、参勤交代制を復活させるといった強硬な姿勢を取り始める。結局、慶喜に拝謁しようと上洛行の […]

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英雄たちの経営力
英雄たちの経営力 第11回 大久保利通 その2

藩政の中心となる大久保  文久二年の久光の率兵上京は、かねてから大久保たちが目指していた薩摩藩による京都の守衛が実現したことになる。だがこれに沸き立った尊王攘夷志士たちが、こぞって京都を目指したことで、恐怖した朝廷は久光 […]

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