8月インバウンド売上高、4.6%増で6か月連続プラス

日本百貨店協会が9月25日に発表した8月の全国百貨店における外国人旅行者向け免税売上高(インバウンド売上高は、約461億9千万円となり、前年同月比4.6%増で6か月連続のプラスを維持した。購買客数は44.7万人と前年同月比9.5%減となり、2か月ぶりにマイナスへ転じた。円安を背景に高額品需要は堅調で、売上を下支えした。

訪日客の国・地域別では、台湾・香港・韓国が引き続き伸長した。一方、中国は購買客数が約37%減と減少幅が拡大し、売上高も17%減となり、前月のプラスからマイナスへ転じた。
国内の地域別では、東京・大阪などの10大都市が好調を維持したのに対し、全国10大都市以外の関東・近畿など7地区は、二桁減と苦戦が続いた。
(図表1、2参照)
8月の全国百貨店売上高、2.6%増で8か月連続プラス 高額品が牽引
インバウンドを含む8月の全国百貨店売上高は、4221億円余と2.6%増加し8か月連続で前年実績を上回った。豪雨や台風等による一部店舗の臨時休業や時短営業の影響で、入店客数は4.0%減だが、高額品は引き続き大きな伸びを示し、売上全体を牽引した。
その背景には、年初から続く株高による資産効果で消費意欲が高まったことがある。さらに、インフレの進行により「欲しいものは今のうちに購入する」という心理が働き、宝飾品や時計など資産性の高い商材への需要が強まった。加えて、自分自身の内面の充足や成長への投資を目的とした購買行動もみられ、こうした複合的な要因が高額品市場を押し上げた。
衣料品は地域ごとの天候差により盛夏商材の動きにばらつきが見られた一方、食料品はお盆や夏休みの手土産需要等により全国的に堅調に推移した。
インバウンド売上高が全国百貨店売上高に占める比率は、前月の10.3%から10.9%に増加した。
来店客数の上位は中国、台湾、韓国、香港
国別順位は前月と変わらず、中国が最多で、台湾、韓国、香港、タイ、シンガポール、マレーシアが続いた。
購買単価15.6%増で8か月連続プラス 客数減も売上は堅調
一人当たり購買単価は約10万3千円。前年からの増加率は15.6%と、前月の21.8%に続き高い伸びとなった。円安基調に加え、高額品の価格上昇が単価を押し上げ、8か月連続で前年を上回った。その結果、客数は減少するもインバウンド売上高の増加につながった。
人気商品は化粧品とハイエンドブランド
売上構成の上位5品目は前月と変わらず、化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨、婦人服が引き続き売上を牽引した。
免税制度、11月から「リファンド方式」に全面移行
訪日外国人向けの免税制度が2026年11月1日に抜本的に改正され、購入時に消費税を差し引く現行方式から、出国時に税額を払い戻す「リファンド(払い戻し)方式」へと移行する。
制度変更のポイント
•現行制度(2026年10月末まで)店頭で消費税を差し引いた免税価格で販売。
•新制度(2026年11月以降)店頭では税込価格で販売し、旅行者は出国時に空港・港税関で物品の持ち出し確認を受けた後、消費税分の払い戻しを受ける。
消耗品の規制を見直し
化粧品、医薬品、食品、酒類などの「消耗品」を免税で購入する際に設けられていた各種規制が、今回の制度改正により廃止・見直しされる。
従来は、
•購入上限額(50万円)
•不正転売防止を目的とした特殊包装(ビニールによる密封梱包)
といった制限が課されていた。衣類・家電などの「一般物品」と消耗品との区分がなくなり、免税制度の一本化に伴って従来の各種措置は撤廃される。これにより、税抜5000円以上の購入であれば、品目を合算して免税対象とできるようになる。
今回の制度の簡素化と規制緩和は、訪日客の購買行動の自由度を高めインバウンド消費の拡大につながるとみられる。
訪日客、8月は310万人で9・6%減 前年割れが再拡大し1〜8月累計も減少

日本政府観光局(JNTO)が9月16日、8月の訪日外国人旅行者数(推計)は、309万8900人となり、前年同月比9.6%減だったと発表した。2026年は4月〜6月に3か月連続で前年割れとなり、7月はわずかに増加に転じたものの、8月は再び減少に転じ、減少幅が1割近くに拡大した。
1月〜8月の累計は2762万人で、前年同期比2.7%減となった。例年、東南アジアを中心に訪日需要が落ち着く時期にあたるほか、航空便の減便や台風による欠航等が影響し、全体としては減少した。一方で、前月に続き東アジアや欧米豪・中東では夏季休暇や祝日に合わせた訪日需要の高まりが高まり、多くの国・地域で訪日客数が増加した。
(図表3参照)
中国の訪日客、9か月連続減 8月は59%減の41万人で回復見通せず

中国は、2025年11月に中国政府が訪日自粛を呼びかけ、日中関係が冷え込んだ影響で、訪日客が9か月連続で減少した。8月の訪日客数は41万人で前年同期比59%減となった。減少率は今年1月、5月の60%減に次ぐ大きさで、需要の回復は依然として見通しが立っていない。
(図表4参照)
韓国が最多85万人、29%増で今年累計742万人 14市場が8月として過去最高

8月の訪日客数は、韓国が今年最高の32%の増加率を記録した前月に次いで29%伸びて、85万500人で最多だった。1月〜8月の累計は742万人で前年同月比21%増加した。良好な日韓関係を反映し、このままのペースが続くと初の年間1000万人が視野に入る。

次いで台湾67万人、中国42万人、香港25万人、米国20万人の順で、この5か国で全体の約77%を占めた。
(図表5、6参照)
全23の国・地域のうち、14か国・地域が8月として過去最高を記録した。
過去最高となったのは韓国、台湾、香港、マレーシア、インドネシア、インド、米国、メキシコ、フランス、イタリア、ロシア、中東地域、北欧地域、スペイン。特にメキシコが37%増と最も高い伸びを示した。

中東地域ではトルコ、イスラエルからの旅行者が30%以上増加で5月以降増加傾向が続いている。
また、イタリア、スペインは単月ベースで最高を記録した。
(図表7参照)
インバウンド上位5か国の動向
訪日客、韓国・台湾・香港・米国で8月として過去最高 中国は大幅減
•韓国85万500人(前年同月比28.7%増)。台風による航空便の乱れはあったが、訪日人気の継続に加え、スクールホリデーや航空座席数の増加が寄与し、8月として過去最高を記録した。
•台湾66万6千人(同7・3%増)。台風による航空便やクルーズ船への影響はあったが、訪日人気の継続やスクールホリデー、航空座席数の増加が追い風となり、8月として過去最高を更新した。
•中国41万8千人(同59.0%減)。中国政府の渡航控え要請や減便の影響が大きく、スクールホリデーがあったものの前年同月を大幅に下回った。
•香港24万7300人(同9.4%増)。台風の影響はあったものの、スクールホリデーや航空座席数の増加が寄与し、8月として過去最高を記録した。
•米国19万7400人(同1.5%増)。例年8月は需要が落ち着く時期だが、訪日人気の継続やスクールホリデーの影響で過去最高となった。
(図表6参照)


