6月インバウンド売上高、29%増で4か月連続プラス 上半期は3%増に


日本百貨店協会が7月24日に発表した6月の全国百貨店における外国人旅行者向け免税売上高(インバウンド売上高)は、前年同月比29.8%増の約509億5千万円となり、4か月連続で増加した。一方、1〜6月の累計売上高は約2946億円で、前年同期比3.1%増となった。同期間の訪日客数は2.0%減少だった。
(図表1、2参照)
全国百貨店売上高は2・3%増で6か月連続プラス 株高とインバウンドが高額品を押し上げ
6月の全国百貨店売上高は前年同月比2・3%増の4687億円余となり、6か月連続で前年実績を上回った。売上の9割を占める国内売上は、休日が1日少なかったことに加え、梅雨や台風などの天候要因による入店客数の減少(6.7%減)が響き、0.2%減と11か月ぶりにマイナスとなったものの、円安基調を背景にインバウンド需要が2桁増を維持し、全体を下支えした。
日経平均株価は昨年末の5万339円から、6月初めに6万6000円台へ上昇し、26日には7万2366円の過去最高値を更新。月末には7万円台に乗せた。株高による資産効果が国内富裕層の購買意欲を刺激し、時計や宝飾品など高額品は引き続き大きく伸びた。また、ボーナス支給時期に伴う「自分へのご褒美需要」も一部でみられた。
このほか、アニメや映画関連の文化催事や食品催事は新規顧客の来店増に寄与した。一方、売上に占めるインバウンド比率は前月の10.6%から10.9%へと微増した。
インバウンド客数は微減も減少幅は最小 中国市場は売上が7か月ぶりに回復
6月のインバウンド購買客数は前年同期比0.5%減の約49万8千人だった。減少は前年11月以来8か月連続となったものの、減少幅は最小にとどまった。2025年11月に中国政府が出した訪日渡航自粛要請の影響が続き、中国からの購買客数は約25%減となったが、売上高は約16%増と7か月ぶりにプラスに転じた。
東南アジア、欧米は売上、購買客数共に増加傾向が継続した。
国別順位は前月とほぼ変わらず、中国が最多で、台湾、韓国、香港、シンガポール、タイ、マレーシアが続いた。
一人当たり購買単価が過去6か月で最大の伸び 客数減を補い売上増
一人当たり購買単価は約10万2千円。前年からの増加率は30.4%と、過去6か月で最大の伸びとなった。円安基調に加え、高額品の価格上昇が単価を押し上げ、6か月連続で前年を上回った。その結果、客数減を補いインバウンド売上高の大幅増加につながった。
人気商品は化粧品とハイエンドブランド
売上構成の上位5品目は前月と変わらず、化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨、婦人服が引き続き売上を牽引した。
円安進行、訪日客に「安いニッポン」効果 ドル162円台で40年ぶり水準
訪日客にとって、最近の円安の進行は「安いニッポン」としての魅力を一段と高めている。円ドルレートは、年初の154円台から6月末には162円台まで円安が進み、月末値としては約40年ぶりに1986年11月の水準に並んだ。
参考までに2026年1月のビッグマック価格を比較すると、最も高いのはスイス1468円で、英国1131円、米国962円。アジアではシンガポール919円、タイ655円、韓国587円となっており、日本は480円で世界第25位である。
訪日客、6月は3カ月連続減少上半期も5年ぶりの減少
日中関係悪化や航空便減少が影響

日本政府観光局(JNTO)は7月16日、6月の訪日外国人旅行者数(推計)が314万8600人となり、前年同月比6.8%減だったと発表した。減少は3カ月連続で、減少幅は2022年1月以来の大きさとなった。
1.6月の訪日客は2108万人余りで、去年の同じ時期より2%減って、上半期としては5年ぶりの減少となり、中国からの旅行者減少や、中東情勢に伴う航空便の減便が影響した。
一方、多くの市場で訪日需要が落ち着く時期にあったものの、祝日やスクールホリデーに合わせた需要増も見られ、台湾・韓国、東南アジアではインド・ベトナム、欧米豪では米国や北欧地域で訪日客数が増加した。
(図表3参照)
韓国が最多78万人、全体の6割強の国・地域が6月として過去最高


6月の訪日客数は、韓国が最も多く、続いて中国、台湾、米国、香港の順となった。これら上位5か国で全体の約75%を占め、訪日市場の中心を形成している。
全23の国・地域のうち、6月として過去最高を記録したのは、韓国、台湾、米国、豪州、カナダ、ベトナム、英国、フランス、インド、イタリア、ロシア、中東地域、メキシコ、北欧地域、スペインの15か国・地域だった。
(図表4、5参照)
訪日客上位5か国の動向 韓国・台湾・米国で過去最高、中国は大幅減
- 韓国787100人(前年同月比7・8%増)。今年は連休がなかったものの、訪日人気の継続と航空座席の増加が寄与し、6月として過去最多となった。
- 台湾670400人(同14.6%増)。継続する訪日旅行人気に加え、昨年は5月末に始まった端午節(中華圏の3大伝統行事の一つ)休暇が今年は6月中旬となったことや、前年同月と比較して航空座席数が増加したことの影響等もあり、訪日外客数は6月として過去最高を記録した。
- 米国354500人(同2.7%増)。訪日人気に加え、多くの地域でスクールホリデーが始まったことが影響し、過去最高となった。
- 中国340700人(同57.3%減)。中国政府より日本への渡航を避けるよう注意喚起があった。端午節が今年は6月中旬となる時期ずれの影響等はあったものの、航空便の減便の影響等もあり、訪日外客数は前年同月を下回った。
- 香港214300人(同28.5%増)。昨年は地震情報がSNSで拡散されたが、今年は端午節の時期ずれや大学生による訪日需要の高まりが追い風となり、前年を上回った。
インバウンド消費、4〜6月期は2兆5千億円
中国減少も他地域が補う

観光庁が7月15日に公表した2026年4〜6月期の訪日外国人旅行者による国内消費額(インバウンド消費)の一次速報値は、前年同期比0・2%増の2兆5096億円となった。政府は2030年までにインバウンド消費額15兆円、訪日客数6000万人の目標を掲げている。
(図表6参照)
中国からの訪日客による消費が前年同期比でほぼ半減した一方、台湾や韓国、米国、香港など主要地域やシンガポール、マレーシア、インドネシアなどのアジア諸国やフランス、ロシアなど欧州からの消費が伸び、減少分を補った。訪日客数は2.7%減少したものの、国内物価の上昇などにより一人当たり旅行支出額が3.3%増加したことが全体の消費額を押し上げた。
買物代・飲食費が増加、宿泊費は構成比低下
項目別では、2025年同期と比べて飲食費、娯楽等サービス費、買物代の構成比がいずれも増加した。一方で、宿泊費の構成比は減少し、費目間での支出傾向に変化がみられた。
国・地域別では米国が最多、上位5か国で全体の56%占める

国・地域別の構成比では、米国が3848億円(構成比15.3%)で最多となった。
続いて台湾が3639億円(14.5%)、中国が2592億円(10.3%)、韓国が2589億円(10.3%)、香港が1452億円(5.8%)となり、これら上位5か国で全体の56%を占めた。
(図表7参照)
1人あたり支出は24万4千円、メキシコが最高額

訪日外国人1人あたりの旅行支出は24万4千円となり、前年同期比で3.3%増を記録した。
国籍別ではメキシコが51万5千円で最も高く、続いて中東が47万3千円、英国が45万6千円となった。
これにより、地域ごとの支出額には大きな差がみられ、旅行目的や滞在スタイルの違いが支出構造に反映された形となっている。
費目別では英国が宿泊・飲食で最高額、買物代はロシアが最多
費目別では、英国が宿泊費21.7万円、飲食費10.6万円で最も高い水準となった。一方、交通費(5.9万円)と娯楽等サービス費(3.3万円)ではメキシコが最高額を記録した。さらに、買物代はロシアが15万円でトップとなり、国・地域によって支出の重点が大きく異なる結果となった。
買物代は2.8%増、構成比も上昇
買い物代の消費額は、前年同期(2025年4〜6月期)の6547億円から2026年は6731億円へと184億円増加し、前年比2.8%増となった。全体の消費額に占める構成比も、2025年同期の26.1%から26.8%へ上昇した。
さらに、1人当たりの買い物代支出額も61,222円から65425円へと6.8%増加しており、訪日客の購買行動が引き続き堅調であることがうかがえる。


