3月インバウンド売上高、5か月ぶりに増加

 日本百貨店協会は4月24日、2026年3月の全国百貨店における外国人旅行者向け免税売上高(インバウンド売上高)が5か月ぶりに増加し、前年同月比5.2%増の約465億1千万円となったと発表した。円安による購買単価の上昇に加え、購買客数の減少幅が縮小したことが要因としている。(図表1、2、3参照)

全国百貨店売上高は3か月連続増

 3月の全国百貨店売上高は前年同月比3.2%増の5071億円余で、3か月連続のプラスとなった。売上の9割を占める国内客が堅調で、株高による資産効果を背景に、時計・宝飾など高額品が伸びたほか、気温上昇で春物衣料品の動きも活発だった。

 また、各社実施の物産展や食料品催事、外商催事も売上増に寄与した。インバウンド売上高の構成比は前月の10.5%から9.2%低下した。

インバウンド購買客数は5か月連続減も減少幅縮小

 3月のインバウンド購買客数は約45万3千人で5か月連続の減少となった。

 中国は訪日渡航自粛要請の影響で売上高は前年同月比約2割減、購買客数は約4割減となった。

 一方、台湾、韓国、東南アジア、米国等その他の地域の売上が増加したことから、全体の減少幅は1月〜2月の20%超から12.3%へ縮小した。

 国別では、中国が大幅減ながら最多を維持し、台湾、韓国、香港、タイ、シンガポール、マレーシアが続いた。

一人当たり購買単価は10万2千円

 一人当たり購買単価は、円安を背景に前年同月比19.9%上昇し約10万2千円だった。

人気商品は化粧品とハイエンドブランド

 売上構成の上位5品目は、化粧品、ハイエンドブランド品、食料品、婦人服飾雑貨、紳士服・雑貨だった。中国人客の減少により美術・宝飾が上位から外れた。

3月訪日客数362万人、3月として過去最高

 日本政府観光局(JNTO)は4月15日、3月の訪日外国人旅行者数(推計値)が前年同月比3.5%増の361万8900人となり、3月として過去最高を更新したと発表した。

 例年3月下旬の桜シーズンに加え、4月のイースター休暇に合わせた学校休みによる訪日需要の高まりを受け、東アジアでは韓国・台湾、東南アジアではベトナム・マレーシア、欧米豪では米国・英国を中心に訪日客が増加したことが、今月の押し上げ要因となった。

 23の国・地域のうち、前年から減少したのは中国と中東地域の2地域。中国は前年11月から続く訪日自粛要請の影響で55.9%減の29万1600人にとどまった。中東地域も、2月末に始まった米国・イスラエルとイランの戦闘の影響で30.6%減の1万6700人となった。(図表4参照)

韓国が最多80万人 7地域で単月過去最高

 国・地域別では、韓国が79万5600人で最も多く、前年同期比15.0%増となった。続いて台湾(65万人)、米国(38万人)、中国(29万人)、香港(21万人)の順で、上位5か国・地域で全体の約64%を占めた。

 単月過去最高を記録したのは、米国、ベトナム、インドネシア、カナダ、英国、ドイツ、北欧地域の7国・地域である。

 また、3月として過去最高は、韓国、台湾、タイ、シンガポール、マレーシア、フィリピン、インド、豪州、メキシコ、フランス、イタリア、スペイン、ロシアの13か国だった。(図表5参照)

上位5か国の詳細

 韓国:79万5600人(前年比15.0%増)。訪日人気に加え、釜山〜静岡の新規就航や仁川〜成田の増便が寄与し、3月として過去最高を更新。

 台湾:65万3300人(前年比24.9%増)。訪日人気に加え、台中〜熊本の新規就航、台北桃園〜青森の増便、国内スポーツイベント開催などが追い風となり、3月として過去最高。

 米国:37万5900人(前年比9.7%増)。3月中旬からのスクールホリデーや訪日人気が続き、単月として過去最高を記録。

 中国:29万1600人(前年比55.9%減)。訪日需要が落ち着く時期に加え、中国政府の渡航自粛要請や航空便減便の影響で前年を大きく下回った。

 香港:21万6300人(前年比3.8%増)。イースター休暇の時期ずれに伴う3月下旬の需要増が影響し、前年同月を上回った。

25年暦年インバウンド消費、一人当たり買物代はシンガポールが最高

 観光庁が3月31日に発表した25年の訪日外国人旅行者による国内消費額(インバウンド消費)の確報値は、前年比16.4%増の9兆4549億円となり過去最高を更新した。

 国別では、中国が2兆58億円(構成比21.2%)で最多となった。続いて、台湾が1兆2033億円(同12.7%)、米国が1兆1186億円(同11.8%)、韓国が9906億円(同10.5%)、香港が5614億円(同5.9%)と続いた。

 買物代消費額では、中国が7619億円で最も多く、次いで台湾(3955億円)、韓国(2423億円)、米国(2216億円)、香港(1714億円)であった。

 訪日外国人1人あたりの旅行支出は22万8千円で、前年同期比0.9%増となった。国籍別ではドイツが39万2千円で最も高く、次いで英国(39万1千円)、オーストラリア(38万7千円)が続いた。

 費目別では、宿泊費は英国(19万3千円)が、娯楽等サービス費ではオーストラリア(3万5千円)が最も多かった。

 買い物代では、シンガポールが前年比32%増の10万1千円となり、これまで最も多かった中国を上回った。中国は前年比23%減の9万1千円と大幅に落ち込み、順位が逆転した。

 人口約600万人のシンガポールは近年めざましい成長を遂げており、一人当たりGDPは日本の2倍以上に達している。首都の目抜き通りであるオーチャードロードではフェラーリなどの高級車を頻繁に見かけるという。

 シンガポールは、世界でも屈指の「車を持つコストが高い国」として知られる。車両購入権(COE)と呼ばれる10年間の所有権の取得費用は、この10年で2倍以上に上昇し、一般的なファミリーカーでも約1400万円に達する。車両本体価格と合わせると、カローラクラスでも総額は2400万円近くとなり、日本の10倍以上の水準だ。

 これほど高コストであるにもかかわらずマイカー人気が続いている背景には、国全体の豊かさの向上が大きく影響しているとみられる。

買物代比率減少 高級品需要の一巡が影響か

 買い物代の消費額は、24年2兆3952億円から25年は2兆5541億円へと1589億円増加し、前年比6.6%の伸びとなった。一方で、費目別構成比は24年の29.5%から25年は27.0%に低下した。

 24年には歴史的な円安が買物需要を押し上げたが、25年に入ってからは円高傾向が進んだことに加え、前年から始まった高級ブランド品の値上げ前の需要の一巡も影響したとみられる。さらに旅行者の消費行動が買い物中心から宿泊や食事などの体験型へとシフトしていることも、背景にあると考えられる。